あの馥郁とした香りが好きだ。
 最初に珈琲店に行って見た、サイフォン式コーヒーの不思議な様は忘れられない。
 ぽこぽこと湯が温められていくとスーッとお湯が登っていく。
 マスターがガラス棒でちょこちょこと攪拌したかと思うと、またスーッと今度はコーヒーとなって下がっていく。温められた分厚なマグカップに注いで 「ハイ。」
 美味しいコーヒーには、クリームも砂糖も不要だ。
 コーヒーそのもの味と香りを楽しむにはストレートでなければならない。

 当時、高校生は珈琲店出入り禁止だったが、お店で飲んだのは高校が初めて。珈琲の味より禁断の店に入ることの魅力の方が大きかったような気がする。

 学生になって初めて、コーヒーの旨さを知った。例のぽこぽこの店である。先輩に連れられて行ったのだが、初めてコーヒーの味を知った者には、コーヒーについて聞くこと全てが新しく、まあ、当たり前の事柄も何も新鮮で、先輩の該博ぶりを尊敬の眼で見ていた。「モカ」あたりがいいんじゃないの。そう言われて飲んだモカは美味しかった。「ブルマン」という我々学生にはちょっと手が出ないコーヒーなど、いわゆる「ランク」があることも聞かされた。
 私は今もモカが好きだ。あの絶妙な酸味をうまく引き出してくれると嬉しくなる。というのは、この「モカ」好みは例のぽこぽこの店で開眼したのではない。結構コーヒーは好きだったので、あちこち浮気をしていたが、知人からあの店の珈琲は格が違うと言われ、「格」などという大それた言葉に惹かれて行って見たのだが、すごかった。

 小さなカウベルがついたドアを開けると、10人ほどが座れるカウンターと4人掛けのテーブルが2つという、ごく普通の小さな珈琲店だが、コーヒーショップのちょっと華やいだ感じがない。ピンと張り詰めた空気と、揃いの少し立派な前掛けをかけたウェイター(全員男性)が4人も並び、きちんと礼をするのだ。何か恐ろしく場違いな所に迷い込んだ思いがしたが、カウンターでモカを頼んだ。「ブレンド」とか「ブルマン」などと言わせぬ雰囲気だった。一人が無言で、メリタだかカリタだか分からないが、ペーパードリップ式でコーヒーを淹れる。挽きたての粉を入れて、そして、入魂の、とでもいえばいいのでしょうか、表現のできない間合いと気合い(?)で湯を注ぐのです。他の3人はその様を見るでもなく、後ろ手に組んで前方を見ています。何時の間に用意したのか、彼らの後の磨かれたガラス戸の中に百以上はあると思われる様々なコーヒーカップから一つを選び、注いでくれます。
 目の前に出された、今までに見たこともないような品格を具えたカップから馥郁となく香るモカ。

 それ以降、私のコーヒー観は変わりましたが、そのお店には年に1度くらいしか行きません。あの緊張感の中で飲むのが本当のコーヒーなのか自問してしまうのです。うわさでは、あのお店には既にお店を開いている方々が修業に来ておられるとか。今もそのお店はある。

 やはり、もっと気軽に手軽に美味しいコーヒーを飲みたいものですね。

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